A1. 「プロトコルパラメータ」、「番号資源」、 「ドメイン名」という三つのインターネットの重要資源の源泉管理を担っているIANA機能は現在、 米国商務省電気通信情報局(NTIA)が監督を行っています。 NTIAは、2014年3月にこの監督権限をグローバルなマルチステークホルダコミュニティに移管する用意があることを発表しました。
これに対応するために、 様々な立場の30名の代表者により構成されたIANA Stewardship Transition Coordination Group(ICG)が設立され、 NTIAへの提案提出に向けての進捗管理および移管後の体制を提案する検討に責任を担うことになりました。 ICGはIANA機能が管理する各資源の運用に関わりを持つそれぞれに運用コミュニティに対して、 自らの関わっている資源における移管後の体制に関する提案の提出を求め、 三資源に関わる提案が2015年6月に出揃いました。
すなわち、プロトコルパラメータについてはIETFコミュニティ、 番号資源についてはRIRコミュニティ、 ドメイン名についてICANNコミュニティが提案の策定を担いました。
これら三つの資源について、 それぞれの運用コミュニティから提出された提案をICGがひとつにとりまとめたものが、 今回意見募集の対象となっている提案です。
A2. 「プロトコルパラメータ」、「番号資源」、 「ドメイン名」という三つのインターネットの重要資源の源泉管理を担っているIANA機能は、 現在米国の非営利団体であるICANNが運営しています。
しかしながら、IANA機能の監督権限は、 歴史的な経緯から米国商務省電気通信情報局(NTIA)が有しており、 IANA機能の運用は契約に基づきICANNに委託する形となっています。 今回の提案は、この監督権限を民間主導の体制に移管しようとするものです。 現在の監督の仕組みは次のようになっています。
今回の提案ではIANA機能の管理する三つの資源に対して、 各資源の機能に直接関わる立場の組織(IETF, RIR, ICANN)が、 各資源の機能をそれぞれ監督する形をとっています。 すなわち、米国政府による管理から、 各資源の利用者を主体とした民間主導の管理体制につながる提案となっています。
A3. 現時点でのNTIAの役割は、 契約による業務の委任およびルートゾーンにおける事務的な承認であるため、 ICANNおよびそのIANA機能が日常業務を安定して提供されている限り、 NTIAから監督権限が移管された後も、 日常業務への直接的な影響はないと、現時点で想定されています。 しかし、これまで経験はありませんが、 ICANNもしくはそのIANA機能が何らかの理由で安定した日常業務ができない状態になったときには、 米国政府に頼らずにグローバルコミュニティが自らの力で解決する必要が生じます。
一方、移管の条件の一つとして、 NTIAは政府主導あるいは政府間組織による監督につながる提案を受け入れないことを明言しており、 本提案を支持することは、 「政府中心ではなくコミュニティベースに検討を進める姿勢への支持」をコミュニティメンバーとして明確に示すという意味合いを持ちます。 安定的に日常業務が行われている限り直接的なインパクトは現時点で想定されていないとしても、 これがむしろ本プロセスへ参加する意義として大きな要素となります。
A4. 今回の提案への意見募集は、 IANA機能に直接関わりを持つ関係者に限らず、 世界的なインターネットコミュニティに対して広く呼びかけられています。
インターネットは米国から始まったという歴史はありながら、 今は世界中で利用され、特定の体制に属さない自律、分散、協調、 そして利用者中心のボトムアップの精神に支えられて今日まで発展してきました。 このたびのIANA機能における監督権限の移管は、 これまで歴史的な経緯から米国政府による監督という体制がとられてきたIANA機能が、 本提案を施行することにより、 民間主導の体制に移管されることになります。 すなわち、 先に示したインターネットの精神に基づいた体制になるという点で、 今回の移管は、大きな意味を持っています。
このような位置づけを持った提案を支持することは、 「よりコミュニティベースとなるインターネット基盤運営への支持」をインターネットコミュニティのメンバーとして明確に示すという意味合いを持ちます。
A5. 提案に対して特段の懸念がなく、 このまま施行して問題ないという場合も含め、 多くのインターネットコミュニティメンバーから提案への支持が表明されることは、 提案がインターネットコミュニティからの幅広い支持を得ていることを示すことにつながり、 NTIAや米国議会での承認を後押しすることになります。
このため、IGCJでも有志としての意見提出をすることにしました。 意見提出にあたり、 より多くの賛同者を示すことでより効果的となるため、 賛同者を広く募っています。
このIGCJの有志が取りまとめた意見に賛同する場合は、 その方のお名前も記載して意見提出することになります。 これら、意見の趣旨に賛同できる場合は、賛同の表明をお願いします。 一人でも多くの賛同をいただければと思います。
A6. A5.に示したIGCJの有志による提出意見検討チームで作成した提出意見案に、是非ともご賛同下さい。 ご賛同される方は、以下のページに従って、その旨お知らせください。 国内のコミュニティとしての意見提出にあたり、 賛同者として氏名を掲載させていただきます。
A7. 「IANA監督権限移管に関する提出意見草案説明のためのIGCJアドホック会議」を2015年9月1日(火)に予定しています。 当日は提案の背景、概要、意見提出内容について日本語でご紹介、 議論を行う予定です。 リモート参加も可能ですのでぜひご参加ください。
また、説明資料はIGCJのWebにて公開します。
A8. 意見表明にあたっては、 提案の詳細について意見がある場合は各組織、 個人で別途直接意見提出を行うものとし、以下に基づき、 移管に伴う大枠の体制への支持表明に重点を置いています。
A9. 国内のインターネットコミュニティの意見として「Individual participants of Internet Governance Conference Japan (IGCJ)」(IGCJを通じて本提案に支持を表明する有志)の名義で提案を提出することを検討しています。 コメント内容の末尾に、 賛同いただいた個人名を連名で記述いたします。 2015年8月24日時点での案は以下をご覧ください。
A10. 提出された意見はこちらのページに公開されます:
https://www.ianacg.org/calls-for-input/iana-stewardship-transition-proposal-public-archive-of-submitted-comments/
意見提出締め切り後、
他に提出された意見と併せてIANA Stewardship Transition Coordination
Group(ICG)で検討されます。
ICGは提出された意見を考慮した上でNTIAに最終提案を提出することになります。
A11. IGCJはメーリングリストやイベントなどを通じたオープンな議論の場として、 どなたでも自由に参加できます。 さらに、IGCJのWebをご参考になり、 希望に応じ適宜ご意見をいただくことでもIGCJに参加することが可能です。 今回の提出意見案にご賛同いただく際には過去においてのIGCJとの関わりの有無とは関係なく、 意見提出案にご賛同いただくことが可能です。 IGCJのメーリングリストや物理的な会合に加入していただかなくとも提出する意見に賛同することは可能です。
A12. 匿名では賛同者の実在を示すことができませんので、 匿名での賛同は受け付けていません。 ご理解いただければ幸いです。 提出する意見が一定の信憑性と責任を伴ったものとして受け止められるためには、 実名で賛同者が確認できることが必要となりますため、 ニックネームにつきましてもご理解ください。